質問と回答

5.人間以外の生物が行う「コミュニケーションみたいな事象」を何と呼んでいますか?

投稿日時: 07/08 中島 聡

 

 (基礎情報学において)コミュニケーションが人間だけのものとしますと、他の生物、ウグイス(鳥類)やゴリラ(哺乳類)等における「コミュニケーションみたいな事象」に別の名前が欲しくなります。「セミ-コミュニケーション」「サブ-コミュニケーション」「プレ-コミュニケーション」・・・基礎情報学で使われている言葉がありましたら、ご紹介いただけないでしょうか。

 質問者 「 タクラマカン砂漠の蟻」さん

回答

 そんな用語はありません。

 解説・説明

 基礎情報学のテーマの中心は社会であり、そこで用いられているのは社会情報(含む機械情報)です。このことは、基礎情報学の重要な理論装置が階層的自律コミュニケーション・システム(HACS)であることからもお分かりになると思います。確かに、生命情報を情報の起源とはしていますが、決して議論の中心ではありません。生命情報が中心テーマならば、それは生物学になってしまいます。したがって、ご質問の内容は基礎情報学の射程外です。

 また、基礎情報学では用語に対して厳格な定義が行われています。「コミュニケーション」という言葉が付けば、それは「社会システムの構成素」を意味するものであり、それ以外の何物でもありません。つまり、「〇〇コミュニケーション」や「コミュニケーション〇〇」としたとしても、必ず「社会システムの構成素」としての意味を含まねばなりません(直喩は有りだか隠喩は無し!)。ちなみに、ニクラス・ルーマンは自身の社会システム論の中で「象徴的に一般化されたコミュニケーション・メディア」という用語を使用しています。基礎情報学では、コミュニケーションとメディアは明確に分離されていますので、この表現(用語)を使用することはできません(コミュニケーションとメディアは別物で混在することはない!)。そこで、ルーマンがほぼ同じ概念に使用した別の用語を採用しています。で、その用語は…「成果メディア」になります。