現在、高校の情報科や大学の情報教育では、「情報=コンピュータ」というイメージが強く、コンピュータの操作法を教えるところが多く、本来教えるべき「社会や人間と情報の関係」についてあまり触れられていないのが現状です。
これからの情報社会は、いかに生きていくかの基礎的な教養や知識を身につけることが大切です。であり、そのためには、基礎情報学をベースにした情報教育が必要であると私たちは考えました。
この考え方を普及するために、「基礎情報学研究会」では、基礎情報学をよりやさしく解説したテキスト『生命と機械をつなぐ知―基礎情報学入門』(高陵社書店、京都芸術大学 東北芸術工科大学 出版局 藝術学舎)および高校・大学の教師向けの基礎情報学的情報授業の手引き『生命と機械をつなぐ授業』(高陵社書店)を刊行し、DVD『基礎情報学に基づく高校教科「情報」の指導法』(ジャパンライム株式会社)を発売するとともに勉強会を開いてきました。
(発足当時のコメントです)
情報システム学会は、「人間中心の情報システムを志向し、ビジネス・研究領域の融合や情報システム人材の育成を目的とした学会」であり、“情報システム”を、「単なるコンピュータ応用システムではなく、人間活動を含む社会的なシステムとしてとらえる」としています。
学会設立の発起人でもある中嶋聞多氏から、生命記号論やオートポイエーシス論、メディオロジーに対する批判的検討から生まれた壮大な情報システム論でもある基礎情報学を、情報システム学の基礎理論構築の出発点とすべき旨の指摘がなされており、情報システム学会がめざす「人間中心の情報システム」と、「基礎情報学研究会」がめざすものの間に共通点を見出したため、情報システム学会の常設研究会設置の申請、認可されました。
この研究会の活動の中で、我々は、高校・大学の情報教育の刷新をめざすと同時に、より広く、基礎情報学にもとづく、情報システム学の新たな基礎理論の構築を進めてまいります。
(情報システム学会常設研究会 「基礎情報学研究会」設置申請書(2013.5.7)より一部表現を直して掲載しました。)
- 基礎情報学について、高校・大学・企業に向けての啓発・普及活動として、おおむね2か月に一回の勉強会を開催する。
- 高校・大学現場で実験授業をおこなう。その実践結果を踏まえて、基礎情報学をベースにした高校・大学向けの情報教育テキストを執筆し、書籍出版を目指す。
- 基礎情報学にもとづき、情報システム学の新たな基礎理論の構築を進め、可能であれば普及のための書籍出版を目指す。
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